おすすめしたい韓国の本
福田知美
英語泥棒1
 
英語泥棒1 ここでは、私が興味深いと感じた韓国の本や今、韓国で話題の本を毎月紹介していく。この記事を通して、少しでも多くの読 者の方に韓国の良書を知っていただき、韓国に親しみを持って頂ければ嬉しく思う。今月は学習漫画『英語泥棒1』を紹介していく。

本書の概略
 本書は韓国で今高く評価されている英語学習漫画である。現在は3巻まで出版されており(2011年6月現在)、中身はオールカラー。『英語泥棒』シリー ズの特徴は、ストーリーを楽しみながら英語の読み書きと聞き取り、そして会話が学べる点だ。各巻に初級・中級の英単語と英文が100以上収録されており、 必須英単語から日常会話まで学習することができる。登場するキャラクターもかわいらしく、ストーリーも他の漫画に引けを取らないくらい質が高い。英語の勉 強をするというよりは本当に読んで楽しむ感覚で英語を身につけられる内容になっている。

あらすじ
 ドドとアルルは戦士の聖殿の近くにある遺跡で謎のブレスレットを見つける。その瞬間、突然現れた正体不明の敵からブレスレットを奪われそうになるがドド はそれを阻止する。するとブレスレットが突然輝き出し、ドドたちはこれまでの世界とは別の次元であるバーベルワールドに飛ばされてしまう。訳も分からず バーベルワールドにやってきたドドたちは、そのブレスレットが伝説の勇者だけに与えられるセイント・キマスターであることを知る。

期待される日本での受け入れ
 普通の漫画を読むような感覚で英語が勉強できる点が強みの『英語泥棒1』は、日本で広く受け入れられると思われる。主な読者層はもちろん小学生だ。    
韓国の学習漫画が日本で翻訳出版されて成功を収めた例が、実は過去にある。教育出版専門会社「未来(ミレ)エヌ」の児童・青少年出版ブランド「アイセウ ム」が出版した「サバイバルシリーズ」が、2011年の上旬に日本市場で累積販売部数50万部を記録したのだ。「サバイバルシリーズ」とは、極限状況に直 面したキャラクターたちが生き残るために使うさまざまな方法を科学の観点から解いた学習漫画のこと。日本で出版されたシリーズは20種類を超え、『異常気 象のサバイバル』、『海のサバイバル』、『山のサバイバル(筆者が翻訳)』などがある。中でも『地震のサバイバル』は今年3月に日本書籍販売サイト 「アマゾンジャパン」で児童学習分野1位となった。「サバイバルシリーズ」が大きな売り上げを達成できた理由は、日本の学習漫画が白黒で「学習」に焦点を 合わせている一方、韓国のそれはオールカラーでエンターテイメントの要素が強いからだという。
 今回紹介している学習漫画『英語泥棒1』も「サバイバルシリーズ」同様、エンターテイメント的な側面が強い。さらに子供たちが学校生活を送る上では欠か せない英語を扱っている点も日本での受け入れにプラスに働くのではないだろうか。ちなみに本書にはリスニング用のCDが付属しているのではなく、ホーム ページにアクセスしてリスニング用mp3ファイルをダウンロードするようになっている(このような点も実に韓国らしい)。このシリーズには他にも『数学泥 棒』や『科学泥棒』などもあるので、また機会があればここでご紹介したい。

題名:英語泥棒1
原題:영어 도둑1
頁数:本文168頁/英語の実践テスト7頁
著者:文・オレパルグム(오래밝음)
絵・ヤン・ソンモ
出版社名:ソウル文化社
発行:2010年11月29日