翻訳通信の主な内容




 『翻訳通信』は翻訳とそれに関連するテーマを幅広くとりあげる。たとえば、以下のテーマを扱う。

翻訳とは何か

 翻訳は時間と空間と言葉の壁を超えて先人から学ぶための手段である。翻訳があるので、数千年の昔から現代までのどの時期に、世界のどこで、世界に何千とある言語のどれで考えられたものでも、人類が文書の形で蓄積してきた知識であれば、すべてを学ぶことができる。翻訳は、文明と野蛮を隔てるものであり、人類と類人猿を隔てるものだとすらいえる。

 翻訳の本質は、時間と空間と言葉の壁を超えて先人から学ぶための手段になることにある。この点を考えれば、翻訳を「語学」という観点から扱うのがいかに馬鹿げているかが分かる。外国語で書かれた文章を母語に変換る方法という観点から扱うのがいかに馬鹿げているかが分かる。「誤訳」 (英文和訳の常識からの逸脱) という観点だけから翻訳の質を論じるのがいかに馬鹿げているかが分かる。

『翻訳通信』はこのような観点から、翻訳について考えていく。

翻訳批評

 翻訳の質は、「誤訳」の多寡では判断できない。外国語で書かれた知識を母語の読者に伝えるのが翻訳の任務であり、この任務をどこまで果たしているのかが、翻訳の質をはかる基準でなければならない。つまり、「原著者が日本語で書いたとすればどう書いただろうか」が翻訳の質を判断する基準になる。

 翻訳批評の目標のひとつは、どの翻訳を選ぶべきと考えるかを読者に伝えることにある。著者の名前で本を選ぶ方法は、だれでもとっている。たとえば好きな小説があると、同じ作家の別の小説が読みたくなる。だが翻訳書では、原著が同じでも訳者が違えば、印象がまるで違うことがある。『翻訳通信』は翻訳書を読む際に、原著者ではなく、訳者で本を選ぶ方法を紹介する。

言葉の意味

 何気なく使っている言葉には意外な意味があることがある。英語の語や句で常識になっている訳語がじつは、英語の語句の意味とは大きくずれていることがある。片仮名の語はほとんどの場合、もとになった外国語の語とは意味がずれている。『翻訳通信』はこれらの点を考えていく。

辞書はいかにあるべきか

 情報技術の発達によって、過去には考えられなかった形で辞書を編纂できるようになった。紙の辞書をそのまま画面に移しただけの電子辞書は、情報技術を活用したものだとはいえない。ではどのような辞書が理想なのだろうか。『翻訳通信』はこの点を考えていく。

読書と出版をめぐる状況

 書店に行っても買いたくなる本がない。読みたくもない本が山積みされていて、少しも楽しくない。逆に、読みたい本はなかなか探せないし、すぐに絶版になって買えなくなっていることも多い。

 出版業界はいま、過去に例のない不況に苦しんでいる。書籍の市場規模が縮小するなか、各出版社は下手な鉄砲も数打ちゃ当たるとばかりに、点数勝負に走っている。『翻訳通信』は読書と出版をめぐる状況を考えていく。

広告

『翻訳通信』には、翻訳書と翻訳関連書、辞書の広告を掲載することがある。広告の申し込みは編集人まで。
 

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