翻訳論関係書籍ご案内
北村彰秀

― 著者より ―
 国内外において翻訳論の本は数多いが、その中で概論的に、あるいは翻訳論史の形で、いろいろな翻訳論が紹介されているものがあるのはありがたい。しか し、あまりにも欧米偏重の傾向が強く、東洋においては翻訳論は存在しなかったかのような印象さえ受ける。実際はどうかといえば、翻訳は昔から世界の各地で 行われてきたのであり、欧米以外にも翻訳論と呼べるものはあるはずである。
 幸いにも、最も有名な翻訳論と見なされているものは、東洋においても忘れられることなく、現在まで残り、また語り伝えられている。そこで、その掘り起こ しをしたいと思い、「東洋の翻訳論」を執筆するに至った次第である。一つの翻訳論の掘り起しから、周囲の状況が目に見え始め、また、当時の翻訳のノウハ ウ、翻訳に対する考え方といったものが、さらにはほとんど忘れられたような翻訳論までもが芋づる式に出て来ることには心躍らされる。この東洋の遺産の全体 としての価値は未知数であるが、見るべきものがある以上、我々は東洋からも学ぶべきであり、また、歴史から学ぶことの重要性は論を待たない。翻訳論研究に 一石を投じたい。

 東洋の翻訳論 ――蔵蒙対訳「学者基本典」から――
北村彰秀著(個人出版)
A5版 全60ページ、定価 735円(税込)

*内容*
膨大な量からなる大蔵経の漢訳、チベット語訳、モンゴル語訳にあたっては、翻訳方法についての議論がなされ、翻訳論が書かれ、翻訳用の辞書が編纂された。 大蔵経の翻訳に対するアプローチ自体が、それだけでも非常に興味深いものであるが、翻訳の間に生み出された翻訳論も、翻訳のノウハウの記録として、非常に 貴重なものである。その中で最も高い水準に達していると思われるのが、仏典モンゴル語訳の際に編まれた「学者基本典」と呼ばれる辞書の序文にある翻訳論で ある。
本書では、今までほとんど知られていなかったこの翻訳論を日本語に全訳し、箇条書きの形にわかりやすくまとめ、分析を試みた。250年以上前に書かれたに もかかわらず、非常に実践的、網羅的なその内容は、現代も翻訳のすぐれた手引きであり、またそれと同時に、興味あるアプローチを提供している。

―目次―
はじめに
第1章「学者基本典」とは
第2章 「学者基本典」序文等の日本語訳(抜粋)
第3章 まとめ(箇条書き)
第4章 歴史の中での「学者基本典」の翻訳論
第5章 欧米系の現代の翻訳論との比較考察、評価
あとがき
付記1 「学者基本典」という表題について
付記2 印刷、製本について
付記3 マハーヴュットパティについて
付記4 翻訳論の著者について
付記5 「学者基本典」出版の場所と異本について
参考文献等
(モンゴルで印刷のため、多少インクの濃淡あり。)
=読者の声=
 「とても興味深いです。」
 「モンゴルに、こういった古典があったのかと、驚かされています。」
 
 続 東洋の翻訳論 ――学者基本典を中心として――
 北村彰秀著(個人出版)
A5版 全55ページ 、定価 735円(税込)

*内容*
  仏典漢訳の翻訳論を全体的に眺め、また中国近代の林語堂の翻訳論にも触れ、「学者基本典」の翻訳論との比較を試みる。それにより、正編、続 編をあわせて見ると仏典の漢、蔵(チベット)、蒙訳の主要な翻訳論や翻訳方針を概観できる。国内外に類書のほとんどない現在では、貴重な情報源ともなるで あろう。記述にあたっては、専門家でなくとも十分理解できるように努めた。

―目次―
前書き  
はじめに  
第1章 仏典漢訳の翻訳論の概観  
第2章 五失本三不易との比較 
(1)本文(2)解釈(3)基本典との比較
第3章 僧祐の翻訳論との比較  
(1)同異記の内容(2)同異記と基本典の比較
(3)前後出経異記(4)前後出経異記と基本典
第4章 彦jの翻訳論との比較  
第5章 玄奘の五種不翻との比較  
第6章 宋賛寧の翻訳論との比較  
第7章 漢訳仏典の難しさについて  
第8章 林語堂の翻訳論  
結論  
あとがき  
正編の訂正箇所、追加言及  
参考文献  
正編、続編の英文要旨
基本典翻訳論の原文(キリール文字転写)

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近刊 東洋の翻訳論 第3巻
 主な内容――翻訳における専門用語の扱い、更なる埋もれた翻訳論を求めて、
       主な仏典翻訳論の英訳等(予定)
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取り扱い書店
アジア文庫
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