翻訳の道具
山岡洋一
翻訳
訳語辞典の紹介
DictJuggler.netで「翻訳訳語辞典」を公開してから、毎日、数十回かはこの辞書を使うようになった。パソコンのハード・ディスクには元の
データが入っているが、以前はせいぜい1日に1回か2回しか使わなかったのだから、回数が大幅に増えている。検索が圧倒的に早く、レイアウトが見やすいの
で、使いやすくなったからだ。
どんな語を引くかというと、たいていはごくごく普通の単語だ。昨日にはthrill、agile、endなどの中学生レベル、高校生レベルの単語を引い
ている。なぜかというと、ごく普通の語ほど意味の範囲が広く、普通の英和辞典や英英辞典では感覚がつかめないことが多いからだ。そして、「翻訳訳語辞典」
は、ごく普通の語でこそ、本領を発揮するように作られている。
「翻訳訳語辞典」はもともと、「辞書に出ていない訳語・活用・用例のデータベース」として構想された。英日、日英の名訳とその原著を資料に、誰でも知って
いるはずの単語や連語で、辞書にない訳語が使われている例を探すことを目的に作られたものなのだ。もちろん、どの辞書にものっている訳語も登録されている
が、それはいうならばおまけである。
なぜ、辞書にない訳語や活用を探したのかというと、語や連語の「意味」を知る手掛かりとするためだ。だから、「翻訳訳語辞典」を使うときは、訳語を探す
だけでなく、訳語の背後にある「意味」を考えていただければと願っている。
現在はアクセス数が少なく、広告のクリック数もごく少ないので、サイトの運営費を賄えるかどうかという程度の広告収入しかない。だが、アクセス数が現在
の1000倍になれば、生活費が稼げるぐらいになるという話だ。生活費は翻訳で稼ぐが、広告収入があればデータベースをさらに拡充できる。そうなればうれ
しいのだが。
(2007年5月号)